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2024/04/20 01:12 |
[よその子]・[霧のなかの子]
読み終わったので、レビュー。でも今回のレビューは通常レビューではなく、比較レビューなのですあります。

・よその子(著/トリイ・ヘイデン(Torey・Hayden) 訳/入江真佐子)
・霧のなかの子(著/トリイ・ヘイデン(Torey・Hayden) 訳/入江真佐子)
の比較です。

まずこれはノンフィクションなのです。心に障害を持った子供たちのお話であり、家族とは、愛とは、いきるってことはなんだろう、というのを根本的なレベルに掘り下げた、愛情深いお話なのであります。
もし教育学部とか児童学科とか児童保育、あるいは福祉系に携わる方がこの記事を読まれていたら、一刻も早くこの作者の本を読まれることをお勧めします。塾講師もそうだよ!

ええと。凄く個人的なことですが、私は小学校のとき4クラス大体36人くらいの学級で育ち、中学校も中規模校に認定され、教頭先生が2人いました。
そうなると、必ず[身体障がい者]あるいは[知的障がい者]と呼ばれる方々が回りにいるのです。私は問う後半というよりも近所にそういう子が一人(先輩)、クラスにも一人おりました。学級委員だったこともあり、彼らによく接することが多かったのです。
で、私に思えたことは一つ。
[下手な人間よりよっぽどいい]
と思ったわけです。
イヂメ問題とかよく関わっていたこともあり(当事者・被害者の両方の経験があるのです)、半分以上疑心暗鬼で幼少期を過ごしました。今でも結構人を信じてません(上辺だけならかなり信用してても、実際問題全て信用しているかって言われるとまったくといっていいほど信用してません)。
そういう経験を踏まえて、ぷくぷく育った私。

愛って深いんです。

とこの作者の本を読んで再認識しました。感動しました。
ボク個人として、最近愛情=SEXという捕らえ方が一般的になってきているように思えます。若輩者がむやみやたらに性交渉にあこがれていたり、それをモチーフとして取り扱ったら本能的にくすぐられてちょっととめられないんですけど、っていう感じになっているように見えます。
当たり前です。
だって性行動=生存、つまり本能なんです。三大煩悩が、睡眠・食事・性交って言うのをご存じないのですか。
一応いっておきますけど、性行動が快楽だと仮想じゃないとかいう話はさておき、それは三大煩悩と同じレベルでしかないってことです。だから追求するのは当たり前です。ですが、無駄にしたりむやみやたらに取り扱ったりすると馬鹿みたいな行動になりますよ(まぁ食べ残し問題とか、過剰睡眠問題とかだと思ってください)。
ていうか生物が基本的に子孫を残して自分の遺伝子を残そうとしているんだから、何でそんなに変に取り扱わなければならないか、それがボクにはわかんないんだが。まぁいいか。

まず、[よそのこ]の登場人物は、
・ブー:自閉症の7歳男の子。独自の世界に浸る・言葉を反響して繰り返す
・ロリ:文字を認識できない7歳の女の子。記憶力はいいのだが、紙に書いてあると認識できない。これは児童虐待にあい、脳に障害を持ったため。
・トマソ:攻撃性の強い8歳の男の子。とても攻撃的であり、傷つきやすい。父と兄を義理の継母に殺され、それを目撃する。スペイン系であるということを誇りにおもっている。
・クローディア:妊娠している12歳。おとなしい。

で、[霧のなかの子]の登場人物は、
・カサンドラ:多重人格の8歳の女の子。実の父親に2年間も誘拐されていた。
・ドレイク:しゃべれない4歳の男の子。両親・祖父は家庭問題を引きずっている。
・ゲルダ:しゃべらなくなってしまった80歳の女性。

人物が違う、というのはそうなんですが。
これは舞台がぜんぜん違うということなのです。
[よその子]は学校、[霧のなかの子]は病院。
日本では職場を変えないことがエリートですが、亜米利加では職場を変えることがエリートなんです。

内容は、[よその子]が本当に愛情を受け取ったことがあまりない子供たちのお話、[霧のなかの子]は家庭問題に悩む子供たちのお話です。
個人的には[よその子]の方が好きです。
[よその子]は最終的に子供たち同士のつながりが持てて、[本当の子供の姿]っていうものの階を見れた気がするからです。
[よその子]は、およそ1/3がロリの話で埋められております。ロリはとっても優しい子供で、単に[文字が認識できない]だけなのです。それなのに今の学校のシステムといったら、[暗記][計算]といったものにしか重点が置けないであり、[子供たちの個性]とか、[長所]というところにまったく目がいっていないのがわかります。
IQ=記憶ではないのです。臨機応変でもないのです。
ええと、記憶力問題だと、頭に詰めるってことはできるのです。引き出すってことはできないのです。で、何処までも引き出せることがいいことのように思えるこの社会、いきづらくありませんかね。
[よその子]は、[らしく]生きるのではなく[誰かと生きる。そこに自分がいる]という世界なのです。自分らしくっていうのは結局自分からかけ離れた自分像でしかないのです。だって、もし自分が[●●らしいよね]っていわれたら、そこにいる自分は乖離しているのではないのだろうか。解脱の世界じゃないんです。
もう素直に感動しました。涙が止まらん。

[霧のなかの子]は、タイトルから鵜呑みして大丈夫だと思います。最後の最後前どんでん返し、という感じです。
たいてい、この作者の場合は、綿密な下調べとかがあったりするのですが、それが改竄とかわからなくなっているだとか、興味がないと突っ返されたりとか、……。
もうこれほど読んでて、先が気になって可哀想でいたたまれないのは久しぶりです。
前に[ヴィーナスのような子]かな。これも読んだけど、これも悲惨だった。
主人公が結構悲惨な目にあって立ち直れなくなっている様子を見ると、結構読む気がうせたりします。なんか、感情移入しすぎちゃうわけなんですが、まさにこれがそうとしか言いようがない。
これを読む際は強い心を備えて挑んでください。ボク、これ最初の方いたたまれなくて読めない……。
ドレイクの話があまりにも辛すぎて、辛すぎて……! 本来ならカサンドラに感情移入するはずなんですが、ドレイクの場合は、年齢が年齢なため、もう哀しくて仕方がない。ボクはこういう祖父だったらたぶん完全につぶれてます。
カサンドラの話も悲惨だった。もう、ただただショッキング。カサンドラが、自分を守るために嘘を言っていたなんて、そんな哀しいことがあっていいのだろうか! 何度もいうように子供はまったく悪くないのです。
ゲルダの話は、少し新鮮でした。ちょっと。でも涙が止まらない。


こんな感じ。
とにかく、[俺ら次世代になうわけだし~]とか[俺、人のために役にたってんじゃん]とか[俺タチが政治とかどうにかしてんだろ]ッとかいう方も含め。
これを読まずして未来は語れない。
なぜなら、ここにあるのは、あまりにもありのままの子供たちだからです。全て、純粋な子供たちなのです……!
未来を定めかねてる人にもお勧めです。世の中は、美しく、哀しく、素晴らしい。
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2008/03/26 23:18 | Comments(0) | TrackBack() | 学業とか経営とか

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